1933年2月27日ドイツ国会議事堂放火事件「地獄に堕ちた勇者ども」(69年伊)
ナチスが台頭していく中で実際に起こった事件に、ドイツの鉄鋼王エッセンベック一族崩壊の悲劇を絡めた、おぞましくも壮大な物語です。
一族の長ヨアヒム男爵の誕生祝いの最中、ベルリンの国会議事堂が炎上中との報告が届く。1933年2月27日に起きたこの放火事件は、ナチスの仕業とされながらもナチスが敵対者弾圧の口実にしたという事件で、公然と悪事がまかり通るほどにナチスの権力が増大したことを象徴している。実業家たちも生き残りを考えざるを得ない状況になっていた。男爵は「本意ではないが事業存続のためにナチスとの緊密な接触もやむなし」との考えを表明する。ここから一族の者たちは、それぞれの立場、それぞれの思惑によってそれぞれの道を行くことになる。
エッセンベック家に元々内在していた問題の表面化や、ナチスの親衛隊(SS)による突撃隊(SA)幹部の粛清シーンは、人間性を逸脱した人間たちの崩壊は人間レベルを超えた次元で美しい、とビスコンティ監督は言っているかのようです。こんな地獄絵を耽美的芸術的シーンにしてしまえるのはこのイタリアの巨匠をおいて他にはいないと思われます。
ドイツ版華麗なる一族はナチスの隆盛と共に崩壊していきますが、それはまた、ナチスの崩壊をも明示しているかのようです。
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