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2007年1月24日 (水)

1920年1月24日モジリアニ逝く「モンパルナスの灯」(58年仏)

パリのカフェでお客の似顔絵を描いても突き返されてしまうモジリアニ(ジェラール・フィリップ)。お金に困っても信念は捨てない画家だったが、それだけにまた、絶望感と酒量は増し、持病の結核と相まって体を蝕んでいった。

しかし、この画家は女性にモテモテで、映画の前半、ダメ男の恋愛もののようになってしまっている。モジリアニの絵画に対する思想も描いて欲しかった。事実、彼の絵にとって女性の存在は不可欠なのだが、これはちょっと気の毒・・・

1917年、モジリアニは運命の女性ともいうべきジャンヌ・エビュテルヌ(アヌーク・エーメ)と出会い同棲生活を始める。14歳年下のこの女性は献身的に画家を支える。その部分のみに焦点を当てるとジャンヌはパーフェクトと言える女性だったようだ。

画商のズボロフスキーも彼の才能を信じ、商売度外視の友情で彼を支えるありがたい存在だ。同じ画商であるモレノ(リノ・バンチュラ)も彼の才能を見抜いていたが、だからこそ死神のように彼に取り憑く。この悪の存在はフィクションのようだが、モジリアニの人生が“不遇の画家”という表現に収れんされていく、象徴的なクライマックスだ。

1920年1月24日、近い未来「エコール・ド・パリ」の巨星となるイタリア出身の画家アメディオ・モジリアニがパリの慈善病院のベッドで35年の生涯を閉じた。

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2007年1月18日 (木)

1960年1月18日フランク・モリス収監「アルカトラズからの脱出」(79年米)

サンフランシスコ沖わずか2キロに位置するアルカトラズ島。しかし潮流は速く、冷たく、泳いで渡ることは不可能とされる。そして全島むき出しの岩盤(ロック)より成る島。ここに凶悪犯や脱獄犯が集められ「刑務所の中の刑務所」と言われるアルカトラズ刑務所があった。自然の要塞に守られている上、強固な警備をも誇ることから「ザ・ロック」と呼ばれる刑務所。

1960年1月18日、大雨の降りしきる中、護送されて来たフランク・モリス(クリント・イーストウッド)は身体検査を受けた後、監房まで全裸で歩かされる。そこから脱獄までの課程をドキュメント風に描いて派手な見せ場はないが、静かな緊張感の見ごたえ充分な映画になっている。ドン・シーゲル監督とイーストウッドといえば『ダーティハリー』が有名だが、『アルカトラズ』ももっと評価されていいと思う。                                                  

フランクの鍛え抜かれた筋肉質な肉体は極悪人には見えなくて(実際そうではないらしい)、刑務所での所作(そんなものがあれば)を会得している人のようだ。寡黙で心優しく強く、頭脳明晰で器用。書類にも「IQ優良」と記されていた。アルカトラズに至るまでのフランク・モリスの理由あり人生をイーストウッド監督に撮って欲しい気がする。

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2007年1月17日 (水)

1950年1月17日ブリンクス強盗事件「ブリンクス」(78年米)

失敗も何のその、天下一の金庫破りを自称するトニー・ピーノ(ピーター・フォーク)は現金輸送車職員の仕事振りを見て、天の啓示(彼にとっての)を受けた。セールスマンに成りすましブリンクス金融警備会社を訪ね、会社経営のずさんさを確信する。本社の金庫を狙うべく会社の内情を徹底的に調査し、実行部隊を組織し、入念な計画の元、1950年1月17日夜、200万ドル以上の現金強奪に成功した。新聞は“史上最大の強盗事件”と伝えている(実話です)

仲間の一人スペッキー(ウォーレン・オーツ)は第二次大戦で破壊作戦班に所属していたことからトニーに見込まれた人物だが、帰還後の生活も恵まれたものとはほど遠い、というようなことや、トニーの生活コミュニティーの慎ましやかなものなどに比べ、有るところには有る大金がいい加減に管理されていることに対して、ドーナノヨ、と言っているように感じられるのですが・・・

刑事コロンボと金庫破りのトニー、頭の回転の良さ、同じです。

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2007年1月14日 (日)

1953年1月14日マニー・バレストレロ生涯忘れえぬ日「間違えられた男」(56年米)

ヒッチコック監督には珍しくドキュメンタりー・タッチで撮られている。正真正銘シリアスもののため、お約束の劇中ワンカット出演をやめ、オープニングで『これは真実に基づくドラマです』と語るに留めている。

この日、保険会社にお金を借りに行ったマニー(ヘンリー・フォンダ)は手配中の強盗犯ではないか、と警察に通報された。顔ばかりか筆跡まで似ている。嘘発見器にかけられ、投獄もされる。こんなことが善良な市民に突然降りかかる。“何もしていないのだから、そのうちわかってもらえるはず”ということは全然なくて、事態は悪い方へと進んでいく。“やっていないことの証明”は不可能で、彼の妻(ベラ・マイルズ)は精神に異常を来たしてしまう。

見えないものの力(警察権力も含め)によって、どんどん追い詰められていく人間の心理をきめ細かく描写し、ヒッチコックの正統的社会派の一面を見せるこの映画を”ヒッチ作品の裏ベスト”と言いたい。

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2007年1月 6日 (土)

1834年1月6日むさし屋の亀戸寮全焼「五辨の椿」(64年松竹)

むさし屋に婿入りした父(加藤嘉)は商売繁盛のため仕事一筋。母(左幸子)は不貞を重ね、父が死の床に就いても外で遊び惚けている。娘おしの(岩下志麻)は母と母と密通した男たちに復讐を遂げてゆく。

天保5年1月6日(映画には明示されていないが、山本周五郎の原作による)、家が燃え盛る炎を見つめるおしのの心に復讐の炎が燃え上がった。もう後戻りはできない。

父が好きだった山椿の花は『御定法では罰せられない罪』に対して罰を与えたという印。死を覚悟した行為であることの証。

父の生前、父を気遣い労わる本来の優しいおしの=志麻さんの美しく清清しいオーラにうっとり。そして、おしのが整然と復讐を実行してゆく時の情念のオーラとの間には、銀幕の大女優・岩下志麻という未来図が垣間見えるような気がします。と今だから何とでも言えるけれど、リアルタイムだったとしても、そう感じたと思う、たぶん。

おしのに同情を寄せる与力(加藤剛)の『今の御定法は70年も前に定められたもの。世間の成り立ちや暮らしぶり、人と人との関係など比較にならないほど複雑になっているはずです』との言葉に、いつの時代にも同じような問題があるのだなーと思った。上司の答えは『お上の批判は許されませんよ』とほぼ期待(?)どうりのものだった。

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2007年1月 5日 (金)

1900年1月5日未来から還り、そしてまた・・「タイム・マシン」(59年・米)

1899年の大晦日のロンドン、科学者のジョージ(ロッド・テイラー)は4人の友人を招待しタイムマシンを完成させたことを話した。マシンの模型(美形態!)で実験をし成功するが、友人たちは手品のトリックみたいなものだろうと信じない。そんな中でも彼のことを心配する心優しきデビッド(アラン・ヤング)は厭世観の強いジョージの心強い味方だ。

皆が帰宅した後、ジョージはタイムマシンに搭乗しタイムトラベルに出発する。トラベル中の情景などを表現する特殊撮影の手作り感はCGにはない趣で和みます。

1917年、1940年の2つの大戦の時代を経て、映画制作時には近未来である1966年を通って、行き着いた先はなんと802701年。理想郷かと思われたそこはとんでもない世界だった。このタイムトラベルを終えて我が家に戻ったのは1900年1月5日。5日前のメンバーにタイムトラベルの一部始終を語る。

『優れたSFは、未来のことを語っているようでいて、実は現代社会に警鐘を鳴らしている』と、確かスピルバーグ監督が言っていたが、この映画の原作者でSF小説の鬼才ハーバート・ジョージ・ウェルズ(1866~1946)の基本姿勢だったのだろう。

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